時実新子 有夫恋
昨日図書館で久しぶりに時実新子さんの本を何冊か借りてきた。
彼女は岡山県生まれの川柳作家、エッセイストとして有名な人だが、この3月に肺がんで亡くなった。昭和4年生まれの昔の女性とは思えない、情熱的な川柳が好きだったのでとても残念だ。
私が最初に彼女の名前を知ったのは、「有夫恋(ゆうふれん)」という本。
夫有る身の恋という過激なタイトルは、当時の金妻ブームその後の主婦達をあおりベストセラーとなっていた。
最初はこの売らんかな風のセンセーショナルなタイトルに軽い嫌悪感があり、実際に手にとって読んだのはブームが去った後だったのだが、そんなもんを吹き飛ばすような生き生きとして激しい川柳に感動した。そして川柳とまた違う、ひょうきんな顔を見せる彼女のエッセイなどを読んでますます好きになってしまったのだ。
有夫恋の中でも一番インパクトの強かった句がこれ
「凶暴な愛が欲しいの煙突よ」
煙突って・・ すげーよなー 迫力あるわ。うん。
後、特に気に入ってるのが
「心奪われ阿呆のような時流れ」
「男の嘘に敏感なふしあわせ」
「どうぞあなたも孤独であってほしい雨」
「慕われているしあわせの髪を梳き」
「何でも二つ並べてしまう淋しがり」
「爪を切る時にも思う人のあり」
「泣いた泣いた泣いた沢山泣いたたくあんかじる
(時実新子『有夫恋』不倫の光と影 朝日新聞社 昭和62年刊より)
もっと激しいのもたくさんあるんだけど、照れるので。(*^_^*)
ほんと、うちの半ボケばーちゃんと同じ世代の人なのに、
これだけのものが書けるってすごいと思う。
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